モーエンス・ラッセン
デンマークにおける機能主義の先駆者
デンマークの建築家、モーエンス・ラッセンは、ル・コルビュジエのビジョンに影響を受けた、数々の業績を残しています。
モーエンス・ラッセン(1901-1987)は、住宅、高層ビル、スポーツ施設、商業施設と建築を主に活躍しましたが、家具、インテリアデザインにおいても注目すべき業績を残しています。
1919年から1923年の間、レンガ積み職人としての修業をしたラッセン。その後デンマーク王立芸術アカデミーの建築科に入学、エドヴァ―ド・ハイベアーグなどの教えを受けています。1925年から1934年までは、デンマークの建築家 トゥ―エ・ヴァス(Tyge Hvass) の事務所に勤務し、建築家としての修業を積みました。
1927年から1928年にかけてはフランスでの滞在を経験。この時、当時フランスを代表する建築家であったル・コルビュジエに大きく傾倒し、その建築、天井高の空間、メザニン(バルコニーのような中二階)を施したモダンなインテリアデザインに大きな関心を寄せます。
そしてラッセン自身も、光が明るく注ぐ、多目的なスペースを創り出すために、同様の実験的な方法を試みています。
また、外部と内部の両方を同等に考慮した、インテリアデザインにも力を注ぎます。
モーエンス・ラッセンは家具デザインにおいても、建築同様に多様な素材を追求。天然素材、人工素材に関わらず、自身のアイデアを形にする才能を発揮しています。名作として知られるシンプルで優雅なエジプシャンテーブルをはじめとする木製家具。そして1930年代には、当時世界を圧巻したモダニズム的な表現を用いたスチールの家具を発表しています。
モダニズムの先駆者として活躍したモーエンス・ラッセンですが、展示会のデザインでも手腕を発揮します。コペンハーゲンにあるデザインミュージアムの常設展示を1939年から1967年にかけて担当。デンマークデザインの海外進出に大きく貢献しました。1971年、モーエンス・ラッセンはその建築への貢献からC.F. Hansen Medal を受賞しています。