ハンス J. ウェグナー
デンマークモダンの原動力
デンマークの建築家ハンス J. ウェグナーは、20世紀の家具デザイナーの先駆者であると考えられています。
デンマークの家具デザイナーの中でも、ハンス J. ウェグナー (1914-2007) は最も創造的かつ革新的であり、多作な人物の一人であったと考えられています。「マスター・オブ・ザ・チェア」と呼ばれることの多いウェグナーは、生涯で約500点もの椅子を創り出し、中には傑作とされているものも少なくありません。ウェグナーの最も有名な作品は、1950年以来ずっと生産されてきたCH24 Yチェアでしょう。
ウェグナーは、「デンマークデザインの黄金時代」と現在呼ばれる時代を築いた錚々たる世代に属し、精度の高さ、クラフトマンシップに対する優れた洞察力、デザインに対する妥協のない姿勢で知られています。そこからは、完璧な接合部、精巧なフォルム、素材に対するたゆまぬ好奇心、木材の持つ性質と可能性に対する深い敬意を感じることができます。ウェグナーの手掛けた家具には、ミニマルな表現と感覚に訴えかける有機的で魅力的なフォルムとの直感的なつながりが表れています。
ハンス J. ウェグナーは1914年、デンマークのトゥナーで生まれました。靴職人の息子でありながら、ウェグナーが幼少期に魅かれたのは、おが屑の匂いでした。18歳になる頃には、H. F. Stahlberg社で家具職人として4年間の修行を終えると、コペンハーゲンに居を移し、1936年から1938年まで芸術工芸学校で学びました。形状、機能、快適さの関係に注目して初めて椅子のデザインに取り組んだのはまだ在学中で、その時の作品を発展させた結果、1938年、コペンハーゲン家具職人組合の展覧会でデビューを果たしました。
ウェグナーは2年間の研鑽の後、1938年にオーフスで建築家兼デザイナーのアルネ・ヤコブセンとエリック・モラーの下で働き始め、オーフスの新市庁舎の家具をデザインする仕事を任されました。
また同時期、現代デザインをデンマークの一般の人々に広める上で大きく貢献した家具職人の大家、ヨハネス・ハンセンともコラボレーションを始めました。ウェグナーは、自分の可能性を認め、その優れた才能を伸ばせる環境を実現してくれるような人々との長期にわたる緊密なコラボレーションを通じて、活発な活動を繰り広げました。
ウェグナーはシンプルで機能的な外観を通して、家具の内なる魂に光を当てようとしました。それが彼の遺産の根幹となっています。ウェグナーは家具職人としての経験から、精巧な接合技術と美しいフォルムをいかにして融合するかを深く理解していました。その美意識は、木材とその性質に対する深い敬意と、他の天然素材に対する強い好奇心に根ざしたもので、それによって形式的なミニマリズムに有機的で自然な柔らかさをもたらすことに成功しました。
ハンス J. ウェグナーは1943年に自身のデザインスタジオを設立しました。1940年代、カール・ハンセンの息子ホルガー・ハンセンは、この才能ある家具デザイナーに注目し、コラボレーションを通じて将来にわたりビジネスを大きく発展させられるのではないか、と考えたのです。一方、椅子のデザインにこだわりを抱き、自分の作品を人々に幅広く届けたいと強く思っていたウェグナーも、このパートナーシップに同意し、すぐに新しいデザインの創出に取り組み始めました。短期集中的な作業の後、ウェグナーはアイコニックなYチェアをはじめとする伝説的な4種類の椅子を立て続けに生み出しました。こうして誕生したYチェアは、現在でも、素材に対するウェグナーの深い理解と、才能ある家具職人との緊密な協力関係がもたらした好例に数えられています。
ウェグナーは生涯を通じて優れた家具を多数デザインしましたが、特に、非常に独創的でありながらあくまでも自然な、幅広いデザインの椅子を作り出したという点で、デザイン史に足跡を残しました。ウェグナーはクリエイティブな才能を活かし、きわめて多作であったため、長年にわたり何百にも上るデザインが商業化され、今日でも生産が続けられているものもあります。
ウェグナーは、最も著名でクリエイティブなデンマークの家具デザイナーの一人とされており、1951年のルニング賞、同年のミラノ・トリエンナーレ金賞、1956年のデンマーク王立美術アカデミーエッカースバーグメダル、1961年のスウェーデン・ユーゲン王子メダル、1980年のデンマーク家具賞、1982年のC. F.ハンセンメダル、1997年の第8回国際デザイン賞など、多数のデザイン賞を受賞しています。
1959年にロンドンの王立芸術協会より王立名誉工業デザイナーの称号を受けるとともに、1995年に王立デンマーク美術アカデミーの名誉会員となり、1997年には王立美術大学より名誉博士号を授与されました。その作品は、ニューヨーク近代美術館やコペンハーゲンのデンマークデザイン博物館から、ミュンヘンのディ・ノイエ・ザムルングまで、世界の主なデザイン博物館のほぼすべてに収蔵されています。ハンス J. ウェグナーは2007年1月にデンマークで死去しました。享年92歳でした。
「外国の方からは、デンマークスタイルをどう生み出したのか、とよく尋ねられますが、私は常にこう答えることにしています。それはたゆまぬ純化と簡素化のプロセスであり、4本の脚、1つの座面、背もたれと肘掛けの組み合わせ、という最もシンプルな形にデザインを削ぎ落とすことだ、と。」
-ハンス J. ウェグナー
先見性に捧ぐスペシャルコンテンツ。デザイナーのハンス J. ウェグナー 生誕110周年を祝して、スペシャルコンテンツを展開します。
ハンス J. ウェグナー生誕110周年を記念して、CH24(Yチェア)が新たにお子様向けのサイズとなりで登場しました。1949年にデザインされたウェグナーの傑作が長年の構想を経て、この度初めて3歳のお子様からお使いいただけるサイズになりました。
デニッシュモダンの代名詞ともいえるCH24。Yチェアとしてもよく知られています。人々の称賛を受け続ける、優雅に弧を描く、その美しいフォルムは、世界の一流レストランやホテルのみならず個人住宅でも頻繁に愛用されています。
ハンス J. ウェグナーが、カール・ハンセン&サンの哲学を基盤に、デザインした最初の5つの椅子。65年以上を経た現在もクラフトマンシップを讃える名作として多くの人に愛されています。
世界的に有名な椅子をデザインしたデンマークの家具デザイナー、ハンス J. ウェグナーが「椅子のマスター」と呼ばれるのには理由があります。ウェグナーは、象徴的なCH24(Yチェア)に加え、ラウンジチェアやダイニングチェアなど幅広い製品を手がけています。
多作で知られる世界的な家具デザイナー、ハンス J. ウェグナー。名作と称される数々の家具を世に送り出してきました。
デザイナーの紹介
カール・ハンセン&サンの製品を選ぶことは、単に家具を買うことと同義ではありません。それは、美しく磨き抜かれたクラフトマンシップの長く誇り高い伝統の一部になることなのです。当社はハンス J. ウェグナーのデザインを世界で最も多く製作する家具メーカーであるとともに、アルネ・ヤコブセン、ボーエ・モーエンセン、オーレ・ヴァンシャー、コーア・クリント、ポール・ケアホルム、ボディル・ケア、安藤忠雄など、名だたる家具デザインの巨匠たちの作品も製作しています。100年以上にわたる豊かな歴史を誇るカール・ハンセン&サンは、デンマークデザインを代表する家具を世界中で販売しています。
* インドア家具:5年間保証。アウトドア家具:2年間保証