NOTES ON HANS J. WEGNER
The CH621 Swivel Chair and the CH290 Series
時代を超えて愛されるデザインを受け継ぎながら、現代の暮らしにふさわしいかたちへと進化させること。それは、カール・ハンセン&サンが大切にしているものづくりの姿勢です。 ハンス J. ウェグナーが手がけた2つの名作が、卓越したクラフトマンシップと美しいデザインはそのままに、現代のライフスタイルに寄り添う仕様へとアップデートされました。その魅力をご覧ください。
現代の快適性を備えた CH621 スウィベルチェア
ハンス J. ウェグナーは生涯に500脚を超える椅子をデザインしましたが、回転椅子を手掛けたのはほんの数脚にとどまりました。そのため、CH621 スウィベルチェアは、彼の作品の中でも特に希少な存在となっています。ウェグナーの代表的な木製フレームのスタイルとは異なり、工業的なステンレススチールのフレームに手作業で張り込まれたレザーを組み合わせた回転椅子です。
この椅子を復刻するのにあたり、参考にできたのは一枚の写真だけでした。オリジナルの椅子の所在が不明だったため、ウェグナーの家族が運営するウェグナー・デザインスタジオに協力を依頼しました。幸い、ウェグナーが残していた緻密な記録の中から、1949年のオリジナル図面がみつかりました。
CH621 スウィベルチェアは、ウェグナーのオリジナルデザインを尊重しながら、現代の使い方に合わせて快適性を高めた一脚です。オリジナルの図面には細身の4本脚ベースが描かれており、キャスターの記載はありませんでした。一方で、アーカイブ写真にはキャスター付きの仕様が確認されたことから、デザインの意図を踏まえつつ、強度と安全性を考慮して溶接による5本脚ベースを採用。さらに、デザインと美しく調和する工業的な特注キャスターを新たに製作し、オリジナルの佇まいを大切にしながら、現代の使用環境に適した仕様へとアップデートしています。さらに、高さ調整機構も現代の使用環境に合わせて見直しました。従来のスピンドル式からガスリフトシリンダーへ変更し、座面の高さをスムーズに調整できる仕様を実現。あわせて、誰もが直感的に操作できる特注レバーを新たに開発し、デザインの美しさを損なうことなく、より快適な使い心地を追求しました。
エレガントで人間工学に基づいたデザインに加えて、工業的な魅力も兼ね備え、現代のホームオフィスに自然に溶け込む椅子に仕上がっています。
暮らしに温もりと多様性をもたらすCH290シリーズ
ハンス J. ウェグナーによるCH290シリーズが、カール・ハンセン&サンのコレクションに加わりました。精緻な木工技術とリラックスしたカスタマイズ可能な張地を特徴としており、ウェグナー独自のシンプルで洗練されたデザインスタイルを体現しています。
1962年にデザインされた堅牢なシリーズは、ダイナミックな脚部と幅広のアームレストを備えた目を引く木製のフレームが特徴的です。2人掛けおよび3人掛けのソファ、背もたれの高いものと低いものの2種類のラウンジチェア、そしてフットスツールで構成されており、カール・ハンセン&サンの既存コレクションに美しく調和し、ウェグナーのデザイン哲学を尊重しながらも、新たな魅力を加えています。
「非常にクラシックなウェグナーのシリーズであり、彼のデザインの特徴的なラインがはっきりと表れているため、私たちのコレクションにも自然に調和しています。」
— クヌッド・エリック・ハンセン
CH292 ソファとCH293 ソファは、シリーズの中でも露出した木製フレームによって他のアイテムとは異なる存在感を放っています。
ウェグナーは、接合部のディテールをあえて見せることで、構造の美しさや職人技を引き立てるデザインを意図的に取り入れました。座面の前方を包み込むように伸びるサイド部分から、スラット状の背もたれへと続く滑らかなライン、角度をつけた後脚、そして幅広で優雅なアームレストに至るまで、そのデザインへのこだわりが細部にまで表れています。
ペーパーコードを使った代表的なデザインとは異なり、CH290シリーズではクラシックな印象の張地を取り入れることで、木製フレームの端正なラインに柔らかさと温かみを添えています。
すでに製品化されていたシリーズを受け継いだため大きな変更はできなかったものの、プロセスはスムーズに進められたと述べています。年月を経て角度にずれが生じていた部分については細かな調整を加え、デザインをオリジナルの図面に近づけました。
特に背もたれの高いCH291 ラウンジチェアのネッククッションのカバーを外す工程は複雑でした。
「ネッククッションを支える上部のストレッチャーは、真鍮製の見えるネジで固定されており、クッションを外すには椅子の上部を分解しなければなりませんでした。そこでネジを取り除き、カバーを簡単に取り外せるように隠しファスナーを追加することで、構造を改良しました。」
— クヌッド・エリック・ハンセン
CH290シリーズは、一つひとつが美しい佇まいを備え、空間に温かみを添えると同時に、ラウンジコレクション全体と自然に調和しています。